『憎悪の化石』鮎川哲也 ★★★
 
昨年の1月ぐらいに読んだが、このままでは完全に内容を忘れてしまいそうなので、拾い読みしてポイントだけ記録。
 
 
【あらすじ】
「十月二十六日、夕さりの有楽劇場で開幕のベルが鳴る。座席に戻らない岡崎エミ子を案じた友人たちはロビーへ出、係員から行方を知らされて耳を疑う。曰く「エミ子さんは亡くなりました」と。挙式を控え至福の境にあると見えた彼女が、何ゆえに?
三日後、熱海に投宿中の湯田真壁なる男が殺された。所持品から岡崎エミ子との繋がりが浮かぶや、湯田事件の捜査は急展開を見せ…」(表紙カバー裏)
 
 
【ネタバレ】
 本作品のトリック、キモ
 
①冒頭の自殺。かつて恋愛相手・湯田(興信所調査員で元記者、本編で殺される男)と再会、過去の妊娠・堕胎をネタに脅迫され、「デスパレートな気持ち」になり身投げした。本筋に大きくは関わらない…。
 
②アリバイ崩し二本立て。殺人企図者(小説家・疋田)と殺人実行者(真犯人の大学講師・曽我)による。
<第一のアリバイ崩し>
妻の不貞をネタに脅され殺害を計画。アリバイ証人(女性記者)に睡眠薬を盛って日数錯誤させる。1回目(犯行日稼ぎ)は飲みなれない酒に、2回目(帳尻あわせ)は心中未遂として。しかしわざわざ熱海の宿まで殺しにいったのに既に殺されていた。不自然な手形発見。
<第二のアリバイ崩し>
時刻表トリック。犯行当日はダイヤ改正時にあたり、時刻表と実運行状況の違いを利用。
「大幅改正の場合はだね、長距離列車にかぎって三、四日以前から新ダイヤで運行されるんだ」犯人は旧ダイヤをもとにアリバイを主張、実際は、新ダイヤで運行された列車に乗って移動していた…。
 
③壁から1mの高さが血塗られていたのは、特徴ある自分の手形を隠すため。犯行直後、小説家が現れたので身を隠す。その際、手形を見られてしまった。
 
③殺害動機。以前、妻を死に追いやった憲兵大尉を殺したことを湯田に知られ、恐喝されていた。
 
④憎悪の化石=憎しみはどれほど歳月がたっても消えない、の意。
 
 
『黒い白鳥』とともに第13回日本探偵作家クラブ賞受賞!ということで少々期待しすぎた。
まず、創元推理文庫の表紙裏の謳い文句…冒頭の自殺を変に強調しすぎ。本文1ページ目タイトル下のあらすじはコンパクトにまとまってるが…。
 
時刻表トリックは正直、何じゃそれ?そんなの普通に裏取り調査すれば(国鉄に確認すれば)すぐわかるんでは?と思ったが、そこは探偵小説、ってものなんだろう。雑学・トリビアのレベル?鉄オタ必読の書か???